who飲料水水質ガイドラインとIAEA安全基準

(⇒IAEAの避難基準はこれ?「IAEA安全基準 OIL2」)
【関連】
⇒「年間被曝限度、引き上げ検討」(2011/4/7追加)
⇒「米の作付け許可の基準に関しての疑問」(2011/4/9追加)

インターネットを見ていると時々、「WHOの水質ガイドラインでは、ヨウ素は10Bqなのに、日本では300Bqだ!甘すぎる!」のような書き込みを見る。
気になったので調べてみると、これは、何のための基準なのかが違うことによるもので、そこをすっ飛ばして、値だけ比べて「だから日本の基準は甘すぎる!」と騒ぎ立てるのは、間違いだ。

WHO飲料水水質ガイドライン(第3版)p.197にはこうある。

スクリーニングレベルおよびガイダンスレベルは、既存のまたは新規の飲料水供給における日常の(「正常な」)運転条件に適用される。これらは、環境中に放射性核種が放出されているような、緊急時で汚染を受けている水供給に適用されるものではない。緊急時のガイダンスレベルと一般的な対策レベルについては、他の資料(IAEA, 1996, 1997, 1999, 2002)に示されている。

つまり、日常的に、人が生涯にわたって飲料をし続けるような水の共有の場合にこの基準は適用されるもので、緊急時の基準は他の資料(IAEA)に示されているとなっている。

IAEA Safety Standardsのp.43(緊急時の消費に適否を判断する表)を見ると、ヨウ素131のOIL(実用上の介入レベル)は、3,000ベクレル/kgとなっている。これを超える場合は、特別な事情がない限りは消費には適さないだろうとなっている(p.34 食物、ミルク、および水の放射性核種濃度を評価する手順のフローチャート図)。

決して日本の基準は甘いわけではない。

WHOの飲料水の安全性についてのQ&Aにも
「WHO の飲料水水質ガイドラインは、原子力危機に際しての基準値とすべきではない。なぜなら、この数値は日常時における飲用に対する適用を念頭に、かなり保守的に設定されているからである。」とある。(2011/4/02 追記)
WHO日本語公式ページ、「飲料水の安全性についてQ&A

<参考>
WHO飲料水水質ガイドライン(第3版)
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf


IAEA Safety Standards 
Criteria for Use in Preparedness and Response for a Nuclear or Radiological Emergency GSG-2
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf

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