プルトニウムがなぜ危険なのか

⇒「福島第一原発敷地外でプルトニウムを検出」(2011年6月6日追加)

【ニュース記事】
敷地土壌からプルトニウム=「通常の濃度レベル」―福島第1原発
東京電力は28日、敷地内の土壌から放射性元素プルトニウム238、239、240が検出されたと発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110329-00000003-jij-sociより

放射性ヨウ素やセシウムより放射性プルトニウムのほうが危険な理由
プルトニウムは半減期が長い。特に呼吸により肺に取り込まれた場合、排出されることなく、長期間体に留まり、内部被ばくを受け続けることになる。

プルトニウム238の実効線量係数
経口摂取した場合の実効線量係数(硝酸塩) 4.9×10-5mSV/Bq
経口摂取した場合の実効線量係数(不溶性の酸化物)8.8×10-6mSV/Bq
経口摂取した場合の実効線量係数(上記二つ以外の化合物) 2.3×10-4mSV/Bq
吸入摂取した場合の実効線量係数(不溶性の酸化物)1.1×10-2mSV/Bq
吸入摂取した場合の実効線量係数(上記以外の化合物) 3.0×10-2mSV/Bq
*実効係数は「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」(平成十二年科学技術庁告示第五号、最終改正 平成十八年十二月二十六日 文部科学省告示第百五十四号、p97)による

経口摂取した場合の実効線量係数は食べ物などから摂取したケース、吸入摂取した場合の実効線量係数が呼吸で肺に吸い込んだケース。

不溶性の酸化物で比較すると、経口摂取の場合は8.8×10-6mSV/Bqで、吸引摂取した場合は1.1×10-2mSV/Bqである。吸引摂取した場合の実効線量係数は、経口摂取の場合の1250倍である。

<復習>
実効線量係数=1ベクレルあたり、50年間の積算で何シーベルト、被ばくするかの値。

つまり、同じベクレル分でも吸引摂取したばあいは、50年間の積算で経口摂取の場合の1250倍の放射線量を浴びることになる。

先日問題になった放射性セシウム137が4万ベクレルのほうれん草で比較すると、

ほうれん草100gを365日食べ続けた(トータル146万ベクレルを経口摂取した)場合
経口摂取した場合の実効線量係数は、1.3×10-5mSV/Bqなので、
50年間に浴びる放射線量は約19.0ミリシーベルト

これと同じ分量の放射性セシウム137を吸引摂取した場合、
セシウムの吸入摂取した場合の実効線量係数は、6.7×10-6mSV/Bqなので、
50年間に浴びる放射線量は約9.8ミリシーベルト

プルトニウム238を同じ分量、経口摂取した場合
経口摂取した場合の実効線量係数(不溶性の酸化物)8.8×10-6mSV/Bqなので、
50年間に浴びる放射線量は約12.8ミリシーベルト

同じ分量、経口摂取した場合は、放射性セシウム137よりも被ばく量は少ない。

プルトニウム238を吸引摂取した場合
吸入摂取した場合の実効線量係数(不溶性の酸化物)1.1×10-2mSV/Bqなので、
50年間に浴びる放射線量は約16060ミリシーベルト

ひぇ~、吸引摂取した場合は、桁が全然違ってくる。。。
もし、放射性プルトニウムが今後、もし仮に、広範囲に飛散したなんてことになった場合の、深刻度合いは放射性ヨウ素や放射性セシウムとは比にならない。

【疑問点】
水の中ではなく、土壌から検出されたってことは、冷却に使っていた水に溶け出したんじゃなく、燃料棒が破損して、そこから空気中に直接出てきたってことなのか?どういう経路で出てきた?

つづき(「土壌中に含まれていた放射性プルトニウム238は0.54ベクレル」)

【関連】

福島第一原子力発電所から20-30km圏内の土壌試料のPu、Uの分析結果(4月1日発表)
プルトニウム238、239+240は検出されず、U235/238は自然の存在比

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