V結線の電流と利用率について
【V結線の電源部分の電流と線電流、負荷部分の相電流の大きさと位相】
V結線電源とY結線平衡三相負荷の各部位の電圧についてはこちら → 【V結線の線間電圧とY結線の各相の負荷にかかる相電圧の大きさと位相】電源部分のa-b間、b-c間を流れる電流をそれぞれ・Iab、・Ibcとし、a-a’間、b-b’間、c-c’間の線電流をそれぞれ・Ia、・Ib、・Icとする。
負荷部分の各相の電流については、例えば、a’-o’間にはa-a’間の線電流・Iaがそのまま流れ込む形になるので、a’-o’間の相には・Iaが流れる。同様にしてb相には・Ibが、c相には・Icが流れる。
【V結線の線間電圧とY結線の各相の負荷にかかる相電圧の大きさと位相】で見たように・Va、・Vb、・Vcは対称三相電圧になっているので、その各部分を流れる電流も大きさが等しく、位相は120°ずつずれた関係になっている。
よって、・Iaの位相をゼロとして各電流の位相を図に表すと下図のようになる。
電源部分の電流についてみていく。
点aについて電流の出入りを見てみると、・Iabが流れ込み、・Iaが流れ出ているので
・Iab - ・Ia = 0 → ・Iab = ・Ia
点bについては、・Ibcが流れ込み、・Ib、・Iabが流れだしているので
・Ibc - ・Ib - ・Iab = 0 → ・Ibc = ・Ib + ・Iab
点cについては ・Ibcと・Icが流れだしているので
-・Ibc - ・Ic = 0 → ・Ibc = -・Ic
となる。これらの関係を図にまとめると以下のようになる。
電源部分の電流は位相が60°ずれた関係になる。大きさは負荷を流れる電流に等しい。
ここがV結線の大切なポイントである。V結線三相電源は、電圧に関してはΔ結線対称三相電源と同じくY結線平衡負荷にかかる相電圧は線間電圧の1/√3倍になるが、電流に関してはΔ結線とは異なる。Δ結線の場合は線電流は電源部分の電流の√3倍になるが、V結線の場合は電源部分の電流は線電流と等しいのである。
ここがV結線の大切なポイントである。V結線三相電源は、電圧に関してはΔ結線対称三相電源と同じくY結線平衡負荷にかかる相電圧は線間電圧の1/√3倍になるが、電流に関してはΔ結線とは異なる。Δ結線の場合は線電流は電源部分の電流の√3倍になるが、V結線の場合は電源部分の電流は線電流と等しいのである。
負荷の力率をcosθ(遅れ)として、各部位の電圧との関係を図示すると以下のようになる。ここで注意が必要なのは、位相がθ遅れるのは負荷を流れる電流(・Ia、・Ib、・Ic)が負荷にかかる電圧
(・Va、・Vb、・Vc)に対してである。
【V結線電源の利用率について】
上で各部位の電流についてみてきたが、
電源部分の電流と電圧を見てみると電源の皮相電力は
|・Iab| |・Eab| [V・A]
|・Ibc| |・Ebc| [V・A]
である。
・Eabと・Ebcの大きさ、・Iabと・Ibcの大きさは等しいので、それぞれの大きさをE,Igとすると
電源1台の皮相電力Sgは
Sg = IgE [V・A]
(2台分では2Pg)
である。
負荷側を見てみる。
負荷に流れる電流・Ia、・Ib、・Icの大きさは等しいのでこれをIzとし、
各負荷にかかる電圧・Va、・Vb、・Vcも大きさが等しいので、これをVzとすると、
一相分の皮相電力Szは
Sz = IzVz [V・A]
となる。
ここで、負荷を流れる電流は電源部分を流れる電流と大きさは等しいので
Iz = Ig
負荷にかかる電圧は線間電圧の1/√3倍であったので
Vz = E/√3
よって
Sz = IzVz = IgE/√3 = Sg/√3 [V・A]
となるから、
負荷三相分の皮相電力は
3Pz = √3Pg
となる。
ということは、電源の容量は二台分で2Pg[V・A]であっても、そのうち負荷側に供給される皮相電力は√3Pg[V・A]にとどまるということである。
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