平成27年度 電験3種 理論 問17の解説
【必要な知識】 V結線電源の線間電圧と相電圧
【解説】
(a) 問題文より、線間電圧の大きさは100√6/√2 = 100√3である。Y結線の三相平衡負荷の各相の相電圧は、線間電圧の1/√3倍で、100Vである。
各相に接続されているコイルのインダクタンスは L = 16 [mH]であるから、誘導性リアクタンスXLは
|XL| = ωL = 100π×16×10^-3 ≒ 5 [Ω]
よって各相のインピーダンスZは
|Z| = √(5^2+5^2) = 5√2
各相に流れる電流は
|I| = |V|/|Z| = 100/5√2
力率は
cosθ = R/|Z| = 1/√2
である。
一相の消費電力は
|I||V|cosθ = (100/5√2) × 100 × 1/√2 = 10000/10 = 1000[W]
三相分では3倍して 3000[W] = 3[kW]である。
よって、(2)が正しい。
(b) 3個のコンデンサをY接続に変換すると一相は下図のようになる。
問題に線電流は線間電圧に対して位相が30°遅れていたとある。相電圧は線間電圧より30°遅れるので、相電圧と線電流は同相ということになり、3CとLは共振をしていることがわかる。
すなわち、合成アドミタンスをもとめ、その虚数部がゼロとなるということである。(*並列接続なので合成インピーダンスをもとめるより合成アドミタンスを求めるほうが計算が複雑にならずに済む。)
RとLの直列部分のインピーダンスは
・Z = 5 + j5
コンデンサの容量性リアクタンスは
・Xc = 1/jω3C
よって合成アドミタンスは
・Y = 1/・Z + 1/・Xc = 1/(5+j5) + j3ωC = 1/10 + j(3ωC - 1/10)
この虚数部がゼロとなるので
3ωC = 1/10
C = 1/30ω = 1/3000π = 1.06 × 10^-4
よって、(2)が正しい。
V結線の電源の上側頂点から時計回りに各頂点をa、b、cとし、
bを基準としてa方向を正としてa-b間に電圧・Eabをかけ、cを基準としてb方向を正として電圧・Ebcをかけたとする。・Ebcは・Eabと大きさが等しく、位相が120°遅いものとする。
aを基準としてc方向を正としたc-a間の電圧を・Ecaとすと
・Ecaはa-b-cの経路をたどることができるので、
・Eca = -・Eab - ・Ebc
となる。
・Eabの位相をゼロとして・Eab、・Ebc、・Ecaの位相の関係を図示すると下図のようになる。
また、Y結線の平衡三相負荷の上側頂点から時計回りにそれぞれ、a’、b’、c’とし、
b’を基準としたa’-b’間の電圧を・Vab、c’を基準としたb’-c’間の電圧を・Vbc、a’を基準としたc’-a’間の電圧を・Vcaとする。
b’とb、a’とaが接続されているのだから、bを基準としたaの電位とb’を基準としたa’の電位は等しい。
よって
・Vab = ・Eab
である。
同様に
・Vbc = ・Ebc
・Vca = ・Eca
となり、三相平衡負荷の各端子間には大きさが等しく位相が120°ずつずれた電圧がかかることがわかる。
また、a’、b’、c’と中性点をO’とし、O’を基準としてa’-o’、b’-o’、c’-o’間の電圧をそれぞれ
・Va、・Vb、・Vcとすると、負荷が平衡していて、各端子間に120°ずつずれた大きさの等しい三相電圧がかかるのだから、・Va、・Vb、・Vcも大きさが等しく、位相が120°ずつずれた電圧となる。
・Vabの位相をゼロとし、図に示すと下図のようになる。
・Vabはb’を基準としたa’-b’間の電圧なので、上図の破線となり、
・Vab = ・Va - ・Vb
大きさは・Vaの√3倍である。
同様にして
・Vbc = ・Vb - ・Vc
・Vca = ・Vc - ・Va
となるから、・Vaの位相をゼロとして図に示すと以下のようになる。
以上より、Y結線の平衡三相負荷の各相にかかる相電圧は、大きさが線間電圧の1/√3倍で、位相が線間電圧より30°遅れたものとなる。
【解説】
(a) 問題文より、線間電圧の大きさは100√6/√2 = 100√3である。Y結線の三相平衡負荷の各相の相電圧は、線間電圧の1/√3倍で、100Vである。
各相に接続されているコイルのインダクタンスは L = 16 [mH]であるから、誘導性リアクタンスXLは
|XL| = ωL = 100π×16×10^-3 ≒ 5 [Ω]
よって各相のインピーダンスZは
|Z| = √(5^2+5^2) = 5√2
各相に流れる電流は
|I| = |V|/|Z| = 100/5√2
力率は
cosθ = R/|Z| = 1/√2
である。
一相の消費電力は
|I||V|cosθ = (100/5√2) × 100 × 1/√2 = 10000/10 = 1000[W]
三相分では3倍して 3000[W] = 3[kW]である。
よって、(2)が正しい。
(b) 3個のコンデンサをY接続に変換すると一相は下図のようになる。
問題に線電流は線間電圧に対して位相が30°遅れていたとある。相電圧は線間電圧より30°遅れるので、相電圧と線電流は同相ということになり、3CとLは共振をしていることがわかる。
すなわち、合成アドミタンスをもとめ、その虚数部がゼロとなるということである。(*並列接続なので合成インピーダンスをもとめるより合成アドミタンスを求めるほうが計算が複雑にならずに済む。)
RとLの直列部分のインピーダンスは
・Z = 5 + j5
コンデンサの容量性リアクタンスは
・Xc = 1/jω3C
よって合成アドミタンスは
・Y = 1/・Z + 1/・Xc = 1/(5+j5) + j3ωC = 1/10 + j(3ωC - 1/10)
この虚数部がゼロとなるので
3ωC = 1/10
C = 1/30ω = 1/3000π = 1.06 × 10^-4
よって、(2)が正しい。
【V結線の線間電圧とY結線の各相の負荷にかかる相電圧の大きさと位相】
V結線電源とY結線平衡負荷の各部の電流についてはこちら → 【V結線の電源部分の電流と線電流、負荷部分の相電流の大きさと位相】
V結線の電源の上側頂点から時計回りに各頂点をa、b、cとし、
bを基準としてa方向を正としてa-b間に電圧・Eabをかけ、cを基準としてb方向を正として電圧・Ebcをかけたとする。・Ebcは・Eabと大きさが等しく、位相が120°遅いものとする。
aを基準としてc方向を正としたc-a間の電圧を・Ecaとすと
・Ecaはa-b-cの経路をたどることができるので、
・Eca = -・Eab - ・Ebc
となる。
・Eabの位相をゼロとして・Eab、・Ebc、・Ecaの位相の関係を図示すると下図のようになる。
また、Y結線の平衡三相負荷の上側頂点から時計回りにそれぞれ、a’、b’、c’とし、
b’を基準としたa’-b’間の電圧を・Vab、c’を基準としたb’-c’間の電圧を・Vbc、a’を基準としたc’-a’間の電圧を・Vcaとする。
b’とb、a’とaが接続されているのだから、bを基準としたaの電位とb’を基準としたa’の電位は等しい。
よって
・Vab = ・Eab
である。
同様に
・Vbc = ・Ebc
・Vca = ・Eca
となり、三相平衡負荷の各端子間には大きさが等しく位相が120°ずつずれた電圧がかかることがわかる。
また、a’、b’、c’と中性点をO’とし、O’を基準としてa’-o’、b’-o’、c’-o’間の電圧をそれぞれ
・Va、・Vb、・Vcとすると、負荷が平衡していて、各端子間に120°ずつずれた大きさの等しい三相電圧がかかるのだから、・Va、・Vb、・Vcも大きさが等しく、位相が120°ずつずれた電圧となる。
・Vabの位相をゼロとし、図に示すと下図のようになる。
・Vab = ・Va - ・Vb
大きさは・Vaの√3倍である。
同様にして
・Vbc = ・Vb - ・Vc
・Vca = ・Vc - ・Va
となるから、・Vaの位相をゼロとして図に示すと以下のようになる。
以上より、Y結線の平衡三相負荷の各相にかかる相電圧は、大きさが線間電圧の1/√3倍で、位相が線間電圧より30°遅れたものとなる。
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