火星に液体の水の存在
NASAが火星に液体状の水の存在を示す有力な証拠を見つけたと会見で発表。
液体の水が存在することが会見を開いてまで発表する程重大なことなのかと思う人も多いのではないかと思う。でも、それほど重大なことなのです!液体状の水が現在も存在するということは、現在もそこに何らかの生命体が存在する可能性が期待できるということなのだから。
Q:なぜそんなに液体の水が重要視されるのか?
それは液体の水が生命の発生、維持に非常に重要な役割を果たしているからです。
地球上の生命体は有機物で構成されています。有機物は炭素を中心に水素、酸素、窒素などからなる物質の総称です。これらの組み合わせで、無限ともいえる種類の物質が生成されます。近年の観測の結果から宇宙には多くの有機物が存在することが確認されています。その反応の豊富さと存在の普遍性から地球上の生命だけでなく、ほかの惑星でも生命がいるとしたら、その生命も有機物で構成されている可能性が高いと考えられます。
そして、有機物の中でもタンパク質が生命維持には欠かせません。このタンパク質は立体構造を持っています。タンパク質の働きはこの立体構造によって決まり、この立体構造の維持に水の働きが大きく関わっています。水は酸素と水素からできていますが、この酸素-水素間の結合の電子の偏りとタンパク質の各部分の電子の偏りとが相互に影響しあって、ひきつけあったり反発しあったりして、その立体構造を維持してます。水がなければタンパク質は立体構造を維持できずに、その働きも停止していしまいます。
さらに、地球の生命誕生の歴史を見る限りでは、原始生命は条件さえそろえば割と簡単に発生のすると考えられます。地球は46億年前に誕生しました。そして、43~40億年前に海洋が発生しました。生命が誕生したのは40~38億年前だと考えられています。海洋ができた後、ごく初期の間に生命は誕生しているのです。もし、生命の誕生が奇跡的な確率でしか起こらないのなら、地球の海洋はその歴史の大半は生命のいない状態がつづていたはずです。
宇宙には生命の材料となる有機物は豊富に存在し、液体の水がある環境ではそこに有機物が溶け込む。そして、それらが反応しあえる条件があれば、奇跡を待たずとも生命が発生する(地球では現にごく初期の間に発生した)のです。
というわけで、液体の水の存在は地球外生命探査では最重要ポイントになっています。それを示唆する証拠が発見されたということですから、そりゃもうその筋の研究者からすれば会見を開いて発表したくなるほどの大事なのです。
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