福島第一原発敷地外でプルトニウムを検出
【ニュース記事】
東京電力福島第一原子力発電所からおよそ1.7キロの道路脇の土から、原発から放出されたと見られるプルトニウムがごく微量検出されました。・・・(途中略)・・・3種類のプルトニウムがごく微量検出され、このうち多かったプルトニウム239と240は、1キログラム当たり、合わせて0.078ベクレルの濃度だったということです。これは過去の核実験で国内に降ったプルトニウムと同じレベルですが、3種類のプルトニウムの割合が異なることから、原発から放出された可能性が高いとしています。・・・(以下略)・・・
【前提知識】
天然に存在するプルトニウムは極めてわずかで、現在地球上に存在するプルトニウムは、核実験等の結果生成されたものと考えてよい。
1945年以来、約10トンのプルトニウムが、核実験を通じて地球上に放出された。核実験のフォールアウト(放射性降下物、死の灰)のために、既に世界中の人体中に1~2ピコキュリー(0.037~0.074ベクレル)のプルトニウムが入っている。フォールアウト起源のプルトニウムが地表面の土壌に0.01~0.1 pCi/g(0.037~3.7ベクレル/kg)存在する。
日本国内の土壌には、プルトニウム238は0~0.15Bq/kg、プルトニウム239、240は0~4.5Bq/kg含まれている(文部科学省「環境放射線データベース」昭和53年~平成20年)。合計では0~4.65ベクレル。
プルトニウム238とプルトニウム239、240の比率:
国内通常時土壌:0.033(238を0.15Bq/kg、239、240を4.5Bq/kgで計算)
プルトニウム238とプルトニウム239,240との比が0.059(←
(以下書き直した)
通常時の0.033に比べると、プルトニウム238の比率が若干高くなってはいる。ただ、これだけでは、原発由来のものとするのには弱いが、検出された他の放射性核種などから、原発由来のものだと考えられるとのこと。
プルトニウム239、240が1kgあたり0.078Bqだったので、これから求めると、プルトニウム238は
0.059 × 0.078 = 約0.0046Bq/kg
(測定限界より少ないんじゃないの?とか疑問だけどそれはさておき・・・)
通常時の比率では
0.033 × 0.078 = 約0.0026Bq/kg
なので、
通常時より0.002Bq/kgほど多くなっていることになる。
3月28日東電発表の資料から福島第一原発敷地内の通常時からのずれを求めると、プルトニウム238がグラウンド付近では0.531Bq/kgの増加、固体廃棄物貯蔵庫前では0.174Bq/kgの増加となった。(⇒3月29日「通常時と比べてプルトニウムがどれだけ増加したのか」)
それに比べると約1/25~1/10倍程度にまで減少していることが分かる。
【通常値からのズレによる被曝量の増加】
仮に、この土壌1kgにあるプルトニウム238を全部吸い込んでしまった場合の、通常比率時の被曝量からの増加量を求める。
吸入摂取の実効線量係数は1.1×10-2mSV/Bqなので、
50年間に浴びる放射線量の増加量は、0.002(←
これは、発がん率を0.00000011(←
【関連】
⇒「プルトニウムがなぜ危険なのか」
【今回の測定結果・訂正前】
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